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キマイラの原理

書誌情報

title: キマイラの原理 (キマイラノゲンリ)
author: カルロ・セヴェーリ,水野千依
publisher: 白水社
publish: 2017-06-29

紹介

「絵文字」にパラレリズムを探る
 「口承的」と呼ばれてきた無文字社会において、「記憶」はいかに生み出され、継承されるのか。記憶、コミュニケーション、そして人間の思考そのものに、言葉とイメージはいかなる役割を果たしているのか。記憶が社会的に共有される「儀礼」という場に焦点を定め、西洋文化のかなたに息づく記憶技術の解明に捧げた本書は、特定の地域研究の枠を超えて、哲学、民族学、心理学、精神医学、言語学、美術史、物語論の成果を縦横に応用しながら、広く人間一般の記憶、認識、想像力をめぐる理論研究として、独創的かつ発展性のある新しい視座を提起する。
 本書を貫くキー概念のひとつである「パラレリズム」とは、反復される定型表現と規則正しい一連のヴァリエーションから構成される形式をさす。この特殊な形式を付与されることにより、物語の連続は記憶を補助する力を獲得する。だがパラレリズムは、テクストの構造に加え、それに関連する「絵文字」というイメージの構造をも統御する。セヴェーリは、アマゾニアから北米大平原に至るまでアメリカ大陸を縦断しながら、先住民の絵文字に、様式的差異を超えて時間的にも地理的にも広大に普及しつつ持続する驚くべき特徴や内的一貫性を浮かび上がらせる。

紹介

「絵文字」にパラレリズムを探る
 「口承的」と呼ばれてきた無文字社会において、「記憶」はいかに生み出され、継承されるのか。記憶、コミュニケーション、そして人間の思考そのものに、言葉とイメージはいかなる役割を果たしているのか。記憶が社会的に共有される「儀礼」という場に焦点を定め、西洋文化のかなたに息づく記憶技術の解明に捧げた本書は、特定の地域研究の枠を超えて、哲学、民族学、心理学、精神医学、言語学、美術史、物語論の成果を縦横に応用しながら、広く人間一般の記憶、認識、想像力をめぐる理論研究として、独創的かつ発展性のある新しい視座を提起する。
 本書を貫くキー概念のひとつである「パラレリズム」とは、反復される定型表現と規則正しい一連のヴァリエーションから構成される形式をさす。この特殊な形式を付与されることにより、物語の連続は記憶を補助する力を獲得する。だがパラレリズムは、テクストの構造に加え、それに関連する「絵文字」というイメージの構造をも統御する。セヴェーリは、アマゾニアから北米大平原に至るまでアメリカ大陸を縦断しながら、先住民の絵文字に、様式的差異を超えて時間的にも地理的にも広大に普及しつつ持続する驚くべき特徴や内的一貫性を浮かび上がらせる。

読書メモ

口承伝統と文字による伝承の2項対立だが本当に?この2つには中間点がある。それが記憶を呼び出すシンボルとしての絵文字である。記憶術の非・西洋化イメージの生物学とは エマヌエル・レーヴィ、ピット・リヴァース

感想

通説では、絵文字は口承文化から文字文化へ移行する際の過渡期だとされてきた。だが、それはちがう。絵文字と口承文学は長い間共存していた。絵文字は複雑になる伝承を記憶するための媒体だったのだ。筆者はネイティブアメリカンの残した絵文字と儀礼の歌を比較検討した結果、そう主張する。儀礼の歌にみられる、似た文章の繰り返しと、絵文字にみられる似た絵の繰り返し。前者を表現するために、後者も似たような形式を獲得したと考えられる。流し読みなので、実のところこの本のキー概念である「キマイラ」についてあんまり良くわかってないんですよね。今のところは「絵文字と他の絵文字、装飾を組み合わせることで、固有名詞や複雑な概念を表現すること」という理解なんですがなんか足りねー気がする。まぁおいおい読み直します。

関連ノート

リンク

脚注

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    あさだあめ

    あさだあめ

    本を読んだりするおじさん。Amazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。