五十八歳、山の家で猫と暮らす
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書誌情報
title: 五十八歳、山の家で猫と暮らす
author: 平野恵理子
publisher: 亜紀書房
publish: 2020年3月27日
母を亡くしたあと、両親の家の片づけが手に付かない。涙で思い出が曇る——
一時避難のつもりで八ヶ岳の麓の家に暮らして2年がたった。山での四季があまりにも美しくて、離れられない。
それでも暮らしに不便はつきまとう。買い物難民、ご近所付き合い、越冬。それらをひとつひとつ乗り越えながら、山の家での暮らしを作っていく。
ここに一人でいると、なにからも自由な、すっかり解放された感覚と、内側へ深く入っていく自分の両方を強く感じた。——本文より
母の思い出と不在をともに嚙みしめながら、ひとりで暮らす深い豊かさを綴る珠玉のエッセイ。
読書メモ
2025-07-20
- 植物や動物の種類への言及が多い
- 寒冷地の山荘暮らしあるあるが多い。凍りつく窓、重労働の雪かき、水道の
- メイ・サートンへの共感を示す p.96
- 近隣住民や共同体との関わりも多い。きのこ狩りのおじさんp.97や牧場主p.100
- 地元の祭りの懇親会に、飛び入り参加。これは真似できそうもない。
- 💭昭和20年代の開拓期、バブル期前に著者家族が山荘の購入、1980年代の別荘ブーム、移住ブーム、そして作者の移住という社会の傾向と個人史がまざりあう。
開拓で入植した人たちは、会議という形ではなく、みなで言いたいことを言いながら、自然に一つずつことを決めていったのかもしれないp.110
- 宮本常一の対馬の話を思い出すような
- 母親の死をきっかけに、東京から横浜の親の家へ。
- そして、猫を飼う
- その後、猫とともに山荘に移住
- 野鳥の会の『フィールドガイド 日本の野鳥』
- 💭さすがにオーデュボンはないか
- 鳥の鳴き声の話
- 庭園の章はいい。母娘の心理的交わり、そして別離の悲しみが、庭造りを通して描かれている。
感想
エッセイストによる、長野県は小淵沢での山荘暮らしの記録。目次の随所にウォールデンへのインスパイア?オマージュを感じた。中身は違うような似ているような。