岩井克人「欲望の貨幣論」を語る
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書誌情報
title: 岩井克人「欲望の貨幣論」を語る
author: 丸山俊一, NHK「欲望の資本主義」制作班
publisher: 東洋経済新報社
publish: 2020年2月21日
大反響の異色経済ドキュメント4作目。同番組シリーズがテーマとする「欲望が欲望を生みだす資本主義の先に何があるのか」。今回は、仮想通貨が生まれ、キャッシュレス化が進む現象を捉え、資本主義の基本を成す貨幣に着目。「貨幣論」「会社は誰のものか」など、正統的な近代経済学の枠組みに留まらず、様々な問いかけ、考察をしてきた日本を代表する経済学者である岩井克人氏が登場する「欲望の資本主義 特別編 欲望の貨幣論2019」(2019年7月14日放送)をベースとし、追加独自インタビューも交えた書籍化。NHK総合「欲望の資本主義」(2016年5月放送)を書籍化した『欲望の資本主義』、2017年新春放送の「欲望の資本主義2017」・2018年新春放送の「欲望の資本主義2018」を書籍化した『欲望の資本主義2』、2019年新春放送の「欲望の資本主義2019」を書籍化した『欲望の資本主義3』に続き、番組シリーズのコンセプトにさらに肉迫する意欲的な企画。まえがきにかえて 岩井克人が「欲望の資本主義」に出合うとき
第1章 「ビットコイン」は究極の貨幣か
第2章 金融投機と二つの資本主義論
第3章 貨幣は投機である
第4章 「資本主義」の発見――アリストテレスと「近代」
あとがきにかえて 逆説の貨幣、欲望、資本主義
読書メモ
貨幣商品説も貨幣法制論も、価値形態説も誤り。
貨幣の自己循環論法::貨幣は貨幣であるから貨幣である。
お尋ね者ジョン・ロー 銀行貨幣制度の導入。フランスでミシシッピ・バブルをひきおこす。われわれがその中で生きている金融システムの生みの親。
ロー派 シュンペーター、ケインズ(おそらく)、岩井克人
アンチ モンテスキュー、ゲーテ
新古典派vs不均衡動学派
ハイエク、フリードマンvsケインズ、ヴィクセル、岩井克人
前者が市場原理主義的で、後者は効率性と安定性の二律背反を考える。
ケインズの美人コンテスト
投機の本質的な不安定さをあぶり出す。
合理性の逆説
恐慌は貨幣のバブルである。
ハイパーインフレーションは貨幣のパニックである。
- 自由を守るためには、自由放任主義とは決別しなくてはならないのです。p.118
アリストテレスが「ポリスの思想家」を超えたとはどういうことか。 #asklist 資本主義の思想家となった。
エコノミーの語源、オイコノミア(家政)。
ポリスとは。他社とともによく生きるための共同体。
貨幣とは、無限の可能性。そして人間は可能性そのものを欲望する存在。
資本主義とは貨幣の無限の増殖を求めるもの。
その「瞬間」とは、まさに近代精神が有限性に満足してしまい、無限の追求をあきらめた瞬間にほかなりません。近代精神の体現者ファウストにとっては、無限への欲望を失うことは、地獄に落ちることと変わらなかったのです。p.138
「ファウスト」にみる近代精神
貨幣はポリスの維持に必要、だが貨幣の存在は資本主義の到来をまねく。そして資本主義は自足した共同体であるポリスを破壊する。
リチャード・シーフォード
ギリシャは歴史上最も早く貨幣化された社会なので、われわれの社会との連続性がある。
- カネの下の平等が、法の下の平等を生み出した。p.150
- 三大悲劇詩人の作品は、孤独に焦点を当てている。
- これはちょっと疑問だよなぁ #asklist
感想
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