贈与の歴史学
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書誌情報
title: 贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ
author: 桜井英治
publisher: 中央公論新社
publish: 2011/11/25
贈与は人間の営む社会・文化で常に見られるものだが、とりわけ日本は先進諸国の中でも贈答儀礼をよく保存している社会として研究者から注目を集めてきた。その歴史は中世までさかのぼり、同時に、この時代の贈与慣行は世界的にも類を見ない極端に功利的な性質を帯びる。損得の釣り合いを重視し、一年中贈り物が飛び交う中世人の精神を探り、義理や虚礼、賄賂といった負のイメージを纏い続ける贈与の源泉を繙く。角川財団学芸賞受賞。
読書メモ
2025-05-31
- 日本の贈与とヨーロッパの贈与のちがい
- 日本は負のイメージ、義務感、ヨーロッパはポジティブ
- その淵源は日本の中世にある
- 日本中世史における贈与
- 「極端な功利的性質を帯び」ていた。
- 中世日本の経済
- 一方で近代的な、独立した個人による市場経済のようなものが成立し、もう一方で濃密な人間関係
- ゴドリエ『贈与の謎』p4
- 神々やそれを代表する人間へ贈与する義務
- もっとも重要で根源的な贈与とも
- 中世日本では寺社への供物
- キリスト教圏における、貧民への施し
- 神々やそれを代表する人間へ贈与する義務
- モースの『贈与論』による定義p4
- 贈り物を与える義務
- 中世日本では貧民への施しなど
- それを受ける義務
- お返しの義務
- 互酬性(レシプロシテ)
- お返しの義務のこと
- 貸し借りの関係
- 互酬性(レシプロシテ)
- 贈り物を与える義務
- 大量出土銭は何を意味するのか?
- 蓄財だとする説
- 著者はこちら派。六文銭で三途の川を渡れる日本で、↓はおかしいだろ……
- 神仏への捧げ物とする説
- 蓄財だとする説
2025-07-11
- 有徳銭
- 金持ち(有徳人)への税金
- かつては神仏への寄付というかたちをとった。貧者救済の名目も。
- 💭中世の幽霊でも見たやつだ。洋の東西を問わないなぁ
- のちに鎌倉時代から南北朝時代に世俗化。借用というかたちに
- そこから税金へと転化
- なにがそうさせたのか?
- かつては神仏への寄付というかたちをとった。貧者救済の名目も。
- 金持ち(有徳人)への税金
- 室町人の精神性
- 「有徳思想」富めるものが払うべしp.52
- 庶民にも支持されていた
- 富の平準化を求める意識(保立道久「中世民衆経済の展開」)
- 贈与としての有徳銭
- 伏見宮貞成(さだふさ)の事例
- 壊れた土蔵の修理のために、土蔵役を課した
- 荘民に対する喜捨のようなもん
- 伏見宮貞成(さだふさ)の事例
- 徳政令
- こっちは民衆に対する直接的贈与
- 土地の本来の持ち主の権利の強さ
- 本来の持ち主と土地は一体であるという呪術的思考があるとモースをひいて勝俣鎮夫は論じた。
- 💭御一新(維新)にもその精神が流れているとか。れいわだと新選組がやりそうなことだが。歴史の皮肉を感じる。
- 「有徳思想」富めるものが払うべしp.52