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関西大衆食堂の社会史

書誌情報

title: 関西大衆食堂の社会史
author: 奥井亜紗子
publisher: 法律文化社
publish: 2025年4月

内容

うどんや丼等の飲食に加えて店頭でおはぎや赤飯を販売した「餅系食堂」は、京阪神都市圏の下町商店街に典型的な「昔ながら」の大衆食堂である。本書は、この餅系食堂のモノグラフを通して戦後日本の都市移動と家族変動および地域社会の姿を描き出す。
目次

読書メモ

2025-08-17

  • ここでいう関西大衆食堂とは?
    • 麺類、丼物+和菓子というスタイルの店のこと。力餅食堂とか。
      • このスタイルの特異性にたいして先に言及したのは加藤政洋
    • 💭こういった地域に固有と思われるスタイルの料理店ってどういうのがあるんだろう
      • 💭焼鳥+うなぎって関東ではメジャーだけど大阪ではあんま見ないよなって昔友達と話してたなぁ……
    • 炭水化物極振りメニュー→肉体労働者向きであるという考察
      • 💭これはどうなん?肉体労働者向け=塩分高めというスジもあるよね。高井田系ラーメンとか。
  • 農村から都市への
  • 中途半端なところからメモをとりはじめる。
  • 力餅食堂の創業者である池口力造は但馬地方の出身
    • 同郷のよしみを頼って、多くの但馬地方出身者が力餅やその派生(千成餅)などで働いたとのこと
    • 立身出世のルートの1つとして存在していた。

感想

読みました。大阪、京都、神戸の住人ならおなじみの力餅グループ。本書はその栄枯盛衰をつうじて、社会の変化を描いている。

初期の力餅グループの店長は、兵庫県の但馬地方の出身者が多かった。創業者の池口力造が但馬出身だからだ。食い扶持のない地方から、同郷のよしみを頼って都会で働く。料理の腕を磨き、親方からの信頼を勝ち取れば、暖簾分けで独立することが許される。晴れて一国一城の主となれば、今度は同郷者を受け入れる側になったり、仕送りをしたりする。こういうかたちの立身出世があったようだ。

地元での人間関係のかたちがそのまま都会でも再現されているという印象をうける。親方として迎え入れた以上、結婚相手の世話や独立時の資金の融資をするのが当然という雰囲気があったらしい。相互扶助の温かさと面倒くささを腹いっぱい味わえる本だ。

関連ノート

脚注

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    あさだあめ

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