離脱・発言・忠誠
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書誌情報
title: 離脱・発言・忠誠
author: A.O.ハーシュマン, 矢野修一
publisher: ミネルヴァ書房
publish: 2005年06月20日
人間の社会的行為の三類型を剔出したグランド・セオリーの改訳新版。 経済学と政治学の対話の試みであるとともに、新古典派の市場主義原理によって切り裂かれつつある公共性復権の手がかりを与える現代社会科学の古典。
- 序 文
- 1 序論と学説的背景
- 2 離脱(Exit)
- 3 発言(Voice)
- 4 離脱と発言の組み合わせ――固有の難しさ
- 5 競争が助長する独占
- 6 空間的複占と二大政党制の力学
- 7 忠誠(Loyalty)の理論
- 8 アメリカ的なイデオロギー・慣行のなかの離脱と発言
- 9 離脱と発言の最適な組み合わせは可能か
- 補 論
- 訳者補説 「可能性追求」と「越境」の日々―ハーシュマン激動の半生
- 訳者あとがき
読書メモ
2025-06-24
- 離脱はどう機能するのか
- 収益の低下
- それに対する経営者の反応
- 完全競争モデルからの逸脱
- 複数社の競争状態において、離脱は各社間での客の移動という形で現れる
- 改善に資するといえるのか?
- 存在しない良い製品を追い求める羽目に。これはまぁ、会社側に有利だなぁ
- 💭ケータイプロバイダの転入特典ゴロ?
- 改善に資するといえるのか?
- 独占企業相手なら効きそう
- 💭独占企業から顧客が離脱ってどういうことなの?
2025-07-14
- 頭いいなぁという感心が
感想
2025-07-14 初読の荒い感想
経済学者アルバート・ハーシュマンの本。勢いが下り坂にある団体にたいして、その構成員はどのような態度をとるか?筆者はとられる態度を離脱・発言・忠誠の3つに分類する。離脱は文字通り、その団体からの離脱をさす。値段は高く、量は少なくなったカントリーマァムを買わなくなるとか、そういう行動だ。発言は、その団体を改善するために、行われる意見の表明である。最後の忠誠だが、これは、組織に対する愛着である。直接的な影響力の行使というより、離脱を減らし、発言の影響力を高めるというメタな効果がある。それらの組み合わせで、団体に起こりうる現象を考察するという方法を提案している。頭いいなぁという感心が先にくる。企業の業績から二大政党制、アルゼンチンの経済など、いろいろな事象をこの3つのパラメータの組み合わせで説明している。経済学のモデル志向を政治学に適応したとも、実際の事例研究を用いた、経済学モデルのアップデートともいえそうなスマートな研究だと思う。個人的に、離脱・発言・忠誠モデルはファンダム研究でも使われるべきと感じた。(私はその辺に詳しくないが、たぶん、使われている)ドルオタは「他界」(離脱)し、阪神ファンは「ヤジ」(発言)を飛ばしてるわけで。
関連ノート
反動のレトリック 同作者の本